ごあいさつ

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ホテルは業種の一つと思っていましたが、今は矢張りホテルと思っております。

ホテルは、世界中どこに行っても動かずそこに在り、
ドアは何時も開放され、そして、私たちを気持ち良く迎えてくれます。

夕食どきが終わると、街の人もそれとなく訪れ、
その晩の宿泊者もさしてする事も無いのかロビーに下り、
皆、何故かレセプションの脇の小さなバーへ集まる。

レセプショニスタもバーテンに変身し、和やかさが増します。

誰もがちょっとだけ話したくて、
だれかの小さな一言から、一気に笑いが広がる。
皆、重かったその日の事はすっかり忘れ、いつもの優しい人間にもどる。
こんな小さな場で、至福を共有し、終わったグラスを眺め明日へ託す。

短い時間、こんなに人を素敵にしてくれる「場」があるだろうか。
形を造ったのは人間だが、人が宿ったのはここなのだろうか。

矢張りホテルなのでしょう。