ごあいさつ _________________________ ホテルは業種の一つと思っていましたが、今は矢張りホテルと思っております。 ホテルは、世界中どこに行っても動かずそこに在り、 ドアは何時も開放され、そして、私たちを気持ち良く迎えてくれます。 夕食どきが終わると、街の人もそれとなく訪れ、 その晩の宿泊者もさしてする事も無いのかロビーに下り、 皆、何故かレセプションの脇の小さなバーへ集まる。 レセプショニスタもバーテンに変身し、和やかさが増します。 誰もがちょっとだけ話したくて、 だれかの小さな一言から、一気に笑いが広がる。 皆、重かったその日の事はすっかり忘れ、いつもの優しい人間にもどる。 こんな小さな場で、至福を共有し、終わったグラスを眺め明日へ託す。 短い時間、こんなに人を素敵にしてくれる「場」があるだろうか。 形を造ったのは人間だが、人が宿ったのはここなのだろうか。 矢張りホテルなのでしょう。